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星野リゾートを支える人たちの手しごと VOLUME 8 界 津軽 koginデザイナー 山端家昌さん星野リゾートを支える人たちの手しごと VOLUME 8 界 津軽 koginデザイナー 山端家昌さん

旅の魅力はその地域にあり
星野リゾートの施設の「個性」を担うのは、その土地を象徴するプロフェッショナル、職人さんや生産者さんの存在です。
彼らの仕事や目指すもの、発信力に着目し、日本各地の未知なる旅へとアプローチします。
文・さとうあきこ

デジタルで目指す世界デザイン 津軽こぎん刺し模様 『kogin』デジタルで目指す世界デザイン 津軽こぎん刺し模様 『kogin』

山端家昌(やまはた いえまさ)さん

青森県出身。弘前での高校時代にこぎん刺し模様に出会い、その魅力を発信すべくkogin.netを立ち上げ作家活動へ。webサイトの主宰、グッズのデザイン&販売、展覧会やワークショップなどで、伝統工芸をデジタルと融合させたkoginワールドを発信。2012年NHK『美の壺 ~青森の刺し子~』で作品が取り上げられ、その後、『星野リゾート 界 津軽』や『三越伊勢丹』でのこぎん企画、Y‘s(ヨウジヤマモト)とのコラボレーションなどを手がけ、アートやデザインとしても世界中で愛されるこぎん刺しを目指し精力的に活動中。

    

こぎん刺しは、
すごくカッコいい!

北欧のインテリアや雑貨ブームとともに、手仕事や手芸好きの女性を中心に『津軽こぎん刺し』が再注目されています。デザイナーの山端家昌さんも、この伝統的な刺し子に感銘をうけたひとり。「田中忠三郎氏(民俗・民具研究家)の展覧会で初めて見た着物が衝撃でした。かっこいい模様だなあ!こんなすごいものが地元にあるのを、なんで今まで知らずにいたんだろうって」。これを機に、山端さんは東京の専門学校でデザインの勉強をする傍ら、帰省のたびに、そのルーツや技法を求め作家や収集家を訪ね歩き、残された品や貴重な話とともに、『津軽こぎん刺し』への自らの視点を深めていきました。

魅力の「模様」が放つ
無限大の可能性

『津軽こぎん刺し』は、江戸時代後期に発した津軽地方に伝わる刺し子技法のひとつ。藍染の麻の野良着に、白の木綿糸を刺し込み、粗い布目を補強し保温性を高め長持ちさせるよう工夫した刺繍が特徴です。1年の半分近くを雪に閉ざされ、経済的にも厳しい生活の中、こぎん刺しは、農村の女性たちのたしなみとなり、おしゃれ心からも装飾する幾何学模様が次々と生み出されたのです。「この美しい伝統工芸はなんとしても守りたい。残すためには、伝え広めていくことが必要と行き着いたのが、“こぎん刺し模様のデジタル化”でした。菱形を主としたシンメトリーの模様は、こぎん刺し最大の魅力であり、デジタルとの相性も良く、現代にも通じる優れたデザインモチーフです。これをデジタルデータ化し、意外性のある素材や色などへ変えることで表現の可能性も無限大に広がっていきます」。

デザインで「伝統」を残す
山端流スタイル

山端さんは、現代に生きるこぎん模様を『kogin』と名付け『津軽こぎん刺し』ならではの技法や模様を、インテリアやオブジェ作品、身近な日用品としても提案。中でも、立体物の構築、プリントやシールを用いたアプローチは、こぎん刺しをよく知る人にも「こういう方法があったか」と新鮮なインパクトを与えています。雪の結晶のようなアクリルのオブジェは、鏡に映り込むことでこぎん模様が完成するしくみ。「シンメトリーだからこそできるもの。観る人の視点と想像力で完成するため、材料も半分で済みエコでもある(笑)」と山端さん。“くつわつなぎ”という模様のデザインシールを貼ったランドセルは、病気や事故から子供を守る魔除け、“背守り”の風習を応用。「母親の思いが込められた模様の意味合いを引き継いでいます」。他にも、表裏とも美しい刺し子刺繍の謎解き作品、手刺しの構造をデフォルメしたオブジェなど、伝統模様の魅力をベースにしたデザインやプロダクトが、自然と『津軽こぎん刺し』への興味を引き寄せ、強く印象づけます。

人とは違うアプローチが
世界への扉の鍵

地元に残された古い作品に数多く触れてきた山端さんは、自身でもこぎん刺しを習得した刺繍男子。現在はこぎん教室で講師も務めています。「昔の津軽の人の刺繍は本当にすごい。これを超えるものを形作れないだろうかと、僕は今、新たなアプローチでこぎんの山頂を目指しています。デジタルを駆使し、先鋭的にもモダンにも変貌するこの伝統模様を、アートやデザインとしても、多くの人と世界に認知させたい!」。いつの日か、『kogin』もタータンチェックやボーダーのような、グローバルスタンダードの柄に。山端さん独自の世界観とポジティブな発信力から、それも決して夢ではないと思えてきます。

「ハナツナギ」のこぎん刺しができるまで

私の愛用品

「伝統」と「現代」をつなぐ必需品

外出先での仕事に必要不可欠なノートパソコン。さまざまな『kogin』デザインを考えるための基本となる約200種類の『津軽こぎん刺し模様』のデータが収まっています。柄の選別、分解から組み合わせ、色付けと、新しいデザインの試作も自在なデジタルの右腕。一方で、アナログの宝物ともいえるこぎん関連の本や図案集も手離せません。「これはあなたに持っていてほしいと年配者から託された本や、絶版になっている資料など『津軽こぎん刺し』の歴史や背景を留めるにも貴重なもの」。今後のトライにも大いに活躍する大切な必需品です。

界 津軽で楽しむ
津軽こぎん刺し

「津軽の伝統工芸の魅力を、より多くの方に体験していただきたい」。界 津軽と山端氏のそんな思いは、2015年夏、27室の「津軽こぎんの間」として形になりました。現在では、施設内の様々な場所でこぎん刺しに触れることができます。客室廊下にかけられた、こぎん模様の照明は部屋ごとにデザインが異なり、総客室数と同じく全部で40通り。館内を旅してお気に入りの模様を見つけてください。

ご当地部屋:津軽こぎんの間

「界」では、滞在全体を通してご当地の魅力に触れていただくため、その地域で活躍する伝統工芸の作家とコラボレーションした「ご当地部屋」をご用意しています。界 津軽では山端氏とともに、津軽こぎん刺しの魅力をふんだんに盛り込んだご当地部屋をご用意しました。こぎん模様で統一したテーブルランナーや座布団カバーのファブリック、太陽や月の光で美しく輝く「こぎん障子」など、こぎん刺し模様がお部屋の中にちりばめられています。

koginラウンジ

伝統工芸「こぎん刺し」の新たな魅力が発見できるスペース。山端氏監修のもと、津軽にゆかりのあるこぎん刺し作家が季節ごとに個展を開催する企画コーナーも併設しています。

津軽こぎん刺し体験

美しいシンメトリーの模様がモダンにアレンジできると手芸ファンにも人気の「津軽こぎん刺し」。こぎん刺しの魅力を気軽に体験できる界津軽オリジナルキットをご用意しています。
一針一針縫っていくうちに気持ちがなごむ、こぎん刺し。 木のフレームに入れてご自宅に飾ればインテリアとしてもお楽しみいただけます。 滞在中のアクティビティとしても、またおみやげとしても好評です。

こぎん灯籠

界 津軽から車で30分の弘前で、毎年2月に開催される冬の風物詩「弘前城雪灯籠まつり」。大小様々な雪灯籠のほか、雪化粧した弘前城の天守閣もライトアップされ、幻想的な雪と光の世界が広がります。この冬、界 津軽でも幻想的なこぎん灯籠が誕生。灯籠の窓に嵌め込まれた伝統工芸の津軽こぎん刺し模様が、雪深い青森の夜を美しく彩ります。

期間:2017年1月中旬〜2月予定(降雪状況によります)

こぎん模様の開運お守り袋づくり

新しい年ならではのアクティビティとして、こぎん模様のかわいらしいお守り袋づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。女性の方にオリジナル体験キットをプレゼントいたします。一針ごとに開運祈願。神社などのお札を入れて、肌身離さず持ち歩くのにもおすすめです。

期間:2016年12月1日〜2017年2月28日(女性無料)

界 津軽

弘前の奥座敷に佇む、津軽文化が光る宿。日本画の巨匠・加山又造の壁画「春秋波濤」の前で披露する津軽三味線は圧巻。八甲田や白神山地、奥入瀬渓流など青森観光にも便利。

http://kai-ryokan.jp/tsugaru/