×

share:

follow us:

  • facebook

星野リゾートを支える人たちの手しごと VOLUME 6 ロテルド比叡 チーズ職人 古株つや子さん星野リゾートを支える人たちの手しごと VOLUME 6 ロテルド比叡 チーズ職人 古株つや子さん

旅の魅力はその地域にあり
星野リゾートの施設の「個性」を担うのは、その土地を象徴するプロフェッショナル、職人さんや生産者さんの存在です。
彼らの仕事や目指すもの、発信力に着目し、日本各地の未知なる旅へとアプローチします。
文・さとうあきこ

毎日休まず作って極める。近江の農家製チーズ毎日休まず作って極める。近江の農家製チーズ

古株つや子さん

琵琶湖がもたらす自然の恵みにあふれた滋賀県は、発酵食品の宝庫としても知られる地。伝統の鮒寿司も大好きという古株つや子さんは、酪農一家に生まれ育った、今話題のチーズ職人です。地元竜王町で50年以上にわたり親しまれてきた「古株牧場」のミルクを使ったナチュラルチーズは、国産チーズの大会で金賞を受賞するなど人気上昇中。近江の新しい名産の担い手に注目しました。

    

毎朝7時半。
搾りたてのミルクから始まるチーズ作り

ワイン同様、最近はチーズも国産の味の評価が高まり、都心のレストランや専門ショップで、質の高いナチュラルチーズに出会うようになってきました。滋賀県竜王町の古株牧場の「つやこフロマージュ」もそのひとつ。チーズ職人の古株つや子さんが4年前、初めて手がけた熟成タイプのチーズ。さわやかな酸味の作りたてから、熟成段階で変化していく風味や香り、クリーミーな口どけもたまらない美味しさです。原料のミルクは、チーズ工房と同じ敷地内の牛舎から届く、フレッシュな搾りたて。古株牧場では現在、300頭の牛の約1割、ホルスタイン種40頭が搾乳牛として飼育されています。

フランスのチーズ農家で学んだ
技術より大切なこと

酪農家に生まれ育った古株さんが、チーズ作りを志したのは8年前。北海道・十勝でチーズ作りの基本を学んだ後、単身、フランスへ。ローヌ・アルプ、アルザス、コルシカ島など各地のチーズ農家に8か月ほど滞在した彼女は、本場の技術を正しく習得したいと意気込んでいたとか。「農家さんでチーズの製法を教わる時、ミルクの温度や分量を細かく聞くと、『あなたはなぜそんなことにこだわるのか。天気や気温は毎日変わり、ミルクも牛の状態やえさによって違ってくる。チーズはその日のミルクに合わせて作るものです』」。チーズ作りに対する揺るぎないスタンスに衝撃を受けた古株さん。「フランスのチーズを作るのではなく、日本では日本の牛に合わせて作ることが大切と教わりました」

シンプルだけど奥深い。
酸疑固チーズに魅せられて

フランスでの研修中、古株さんは各地方で親しまれている数多くのチーズを試しました。中でも、ローヌ・アルプの名産チーズ「サン・マルスラン」に魅了され、その思いを込め作りあげたのが「つやこフロマージュ」。乳酸菌の「酸」の力でミルクを固め、酵母の力でゆっくり時間をかけ熟成させる酸疑固チーズ。シンプルな製法でありながら、その変化する味わいの深さは、古株さんが目指す「うちのミルクで作る最良の味わいを引き出すチーズ」の代表格。現在8種類ある彼女のチーズの中でも一番の人気です。また、生産量は少ないものの、念願だった山羊のミルクを使ったシェーブルも仲間入り。新たに増設したカーヴでは、セミハードや、試作中のハードタイプチーズなど、芳醇な香りを放つチーズが微生物の力を借り、ゆっくりと熟成を続けています。

酪農家だからできる、
新たな試みに挑戦

幼い頃から乳製品が大好きだった古株さん。でも、祖父から父へと受け継がれた酪農という仕事は好きになれず、美容師としてキャリアを積んでいた時期もあったとか。その間、お母さまは牧場内にジェラートショップを開き、その後、パティシエのお姉さまが作るスイーツとともに、新しいショップ『湖華舞』をオープン。さらに、近江牛の肥育に取り組むお兄さまと、家族それぞれが酪農ビジネスへ挑戦しています。古株さんは、一度実家を離れたことで、家業の素晴らしさにあらためて気づき、家族の生き生きとした姿にも触発されました。「チーズ作りは毎日ブレずに続けること。この地だけの乳製品や加工品の美味しさを、より身近に感じて食べてほしいので、これからは、飲食店とのコラボやワークショップにも積極的に取り組みたい。できることから少しずつ始めます」。

「つやこフロマージュ」ができるまで

私の愛用品

牧場の新しい仲間たち

今回は品物ではなく、動物です。つや子さんにとって、今もっとも大切で愛すべき存在は3頭の山羊たち。3年前に長野からやってきた、メスの婦志(ふじ・アルピィーノ種)とオスのバク(トカラ種)。一昨年、念願の子山羊、育(いく)が誕生しました。つや子さんは、婦志のミルクを搾乳し、初シェーブルを製造。古株牧場でも初めての山羊飼育ですが、活発で元気いっぱい、愛嬌たっぷりの山羊たちは、つや子さんの姿を見つけるや、声を限りに叫び続けます!メエエエ~

ロテルド比叡で楽しむ
古株牧場「湖華舞」のチーズ

世界文化遺産・比叡山延暦寺の続き地に建つ琵琶湖を臨む優雅なオーベルジュ「ロテルド比叡」では、「発酵ガストロノミー」というプロジェクトを立ち上げております。発酵に必要な気温・湿度に適した条件をもつ琵琶湖周辺では、琵琶湖・近江の食材を使いながら「発酵」の美味しさを追求し、進化させている生産者がたくさんいます。そんな生産者の方々と協力し合い、チーズ、お茶・ワインなど「発酵」でできあがる食をテーマに、年間を通じて体験イベントを開催しています。

シェフのスペシャリテ

フロマージュブラン・貴腐ワインのジュレ 繊細な鮒鮓のアルモニー

滋賀を代表する名産品「鮒鮓」も発酵食品のひとつ。琵琶湖固有種の二ゴロブナを発酵技術で独特の美味しさを引き出しています。ロテルド比叡では、琵琶湖があるからこそ守られてきた食文化を取り入れ、フレンチと融合させました。それにより驚きと感動に満ちた新しい料理が生まれました。

チーズ作り体験

国産チーズのコンクールで金賞に輝いたチーズ職人直伝、新鮮な生乳を使いチーズを手作りします。チーズを作る過程には欠かせない発酵について、様々なチーズの種類や特徴についても教わります。作ったチーズと相性のよいワインとの組み合わせを紹介するテイスティングも。

【期間】8月26日(金)、9月2日(金)
詳細はロテルド比叡公式HPにて

ロテルド比叡

世界文化遺産・比叡山延暦寺の続き地に建つ琵琶湖を望む優雅なオーベルジュ。古来より近江に伝わる発酵の知恵を用いた鮒鮓や豊穣な近江食材を使い、驚きと発見に満ちた新しいフレンチをご用意いたします。

http://hr.hotel-hiei.jp/