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星野リゾートを支える人たちの手しごと VOLUME 2 星のや竹富島 竹富ミンサー 島仲彌喜氏&島仲由美子さん星野リゾートを支える人たちの手しごと VOLUME 2 星のや竹富島 竹富ミンサー 島仲彌喜氏&島仲由美子さん

旅の魅力はその地域にあり
星野リゾートの施設の「個性」を担うのは、その土地を象徴するプロフェッショナル、職人さんや生産者さんの存在です。
彼らの仕事や目指すもの、発信力に着目し、日本各地の未知なる旅へとアプローチします。

島の自然とおばあたちが伝える「竹富島のミンサー」島の自然とおばあたちが伝える「竹富島のミンサー」

島仲彌喜(よしのぶ)さん&島仲由美子さん

沖縄・八重山諸島のひとつ竹富島は周囲約9km、人口360人ほどの小さな島。ここには古くから多くの伝統織物が残され、芭蕉布や八重山上布、グンポウ、ミンサーなどが、今も静かに継承されています。その歴史と技術を伝える「竹富民芸館」代表の島仲彌喜さん、由美子さんご夫妻は、島に残る数少ない職人であり、織物作家の第一人者。竹富出身のおふたりは、約300年の歴史ある島のミンサーを通して、当地の自然と生活文化の温もりを訪れる人へ伝えています。

    

絣の組み合わせが特徴の
ミンサー

竹富島発祥と言われるミンサーを代表するのが、平織の細帯「ミンサー帯」。その由来は、綿でできた狭い帯「綿狭帯」と言われ、かつては八重山各島で織られたもので、その柄に地域ごとの特徴がありました。竹富島のミンサー帯といえば、絣の五つ玉と四つ玉を組み合わせていく素朴なもの。その柄「いつ(五)よ(四)」の帯は、島の娘たちが「いつの世まで末永く仲睦まじく」と、心をこめて織りあげ、愛しいひとに贈ったと伝わっています。最近では「いつよ」の柄を生かしたテーブルウエアや小物入れなども織られ、島外でも広く親しまれています。

島の色を生み出す天然染料

八重山の島で織物文化が育まれてきた背景には、古来より変わらぬ豊かな自然の恵みがあります。それは、藍やクサギ、フクギ、山桃、くちなし、紅樹(ヒルギ)など、島に自生する植物から作られる染料の数々。これらの多くは、古くから薬用とされ、体にやさしく安心して身に着けることができるのです。ミンサーの藍色には、主に琉球藍やインド藍が使われ、その樹皮や実、花や葉などを昔ながらの手法で用いることで、植物の個性が糸を染め上げ織物の色に、そして島の色となるのです。

島の女性たちの体に宿る
尊い作業

「昔は島を歩くと、どこの家からも機織りの音が聞こえてね」と由美子さん。八重山の織物は、祖母からは母、そして娘へと生活手段のひとつとして伝わってきました。教本はなく、毎日目で見て、手で触れながら自然と技術が体に残る、由美子さん曰く「三度の食事と一緒(笑)」。

かつて竹富の女性は、ミンサーの原材料となる木綿花や染料の藍を畑に植え、収穫して染め、糸作りから織り上げまで、ただひとりの手で作り抜いていたといいます。「気が遠くなるような作業ですが、今も基本の工程はおばあたちの時代と一緒。変わることなく伝わっています」。

ひとりの手で仕上げて
わかること

竹富のミンサーは、もともと「手締め」という、経(たて)糸の間に緯(よこ)糸を入れ、刀杼(とうひ)と呼ばれる道具を差し入れ、それを引き寄せて織り上げるのが特徴。熟練したコツがいる織りですが、こうして織った帯はやわらかく体に馴染み、最高の締め心地だといいます。とはいえ、織りは工程のひとつにすぎず、そこへ至るには、染色、糸操り、糊張り、絣括り、巻き取りなど、糸を整えるための膨大で細かい下準備が繰り返されます。

「竹富ではこの工程を分業せず、全てひとりでこなすように教えられてきました。そうでなければ成り立たないだけでなく、どの工程にも意味のある先人の教えを体得する、一人前になるためです」と由美子さん。

先人の技に日々突き動かされて

工程ひとつでも手抜きをすれば最後まで響くため、本当に好きでなければ続かない地道な作業。「でもその淡々とした中に、先人の技や知恵が息づいていて、励まされるんです。よし、私も負けないようにきちんとした織物を作らねば!と」。竹富島の伝統織物は、後継者不足の問題を抱えて久しいが、幸いにも島仲夫妻には新たに娘さんの手も加わりました。「細々ではあっても、新しいものにも挑戦しながら、島の伝統文化を伝えていきたい。自然と寄り添い、自然体でね」。由美子さんのチャームポイントのやさしさにあふれた笑顔がいっそう輝きます。

ミンサーができるまで

私の愛用品

「手締め」の父の帯

見るからにしなやかで手触りの良さそうなミンサー帯。「60年前、いやもっと前かもしれません。父がいつも寝間着の上から締めていた帯で、祖母が織った手締めです。しなりがよく、使い込むほどに締めやすい。普通の織りの3~4倍の手間暇をかけ、刀杼を両手で握り、1本ずつ糸を折り重ねそろえていく技術と根気に圧倒されます。全工程を含めれば、この帯1本に1か月以上かかったでしょう」。竹富島に現存するミンサー帯の中でも最古に近い品で、「竹富民芸館」に展示されています。

星のや竹富島で愉しむ
ミンサーの魅力

竹富島は、沖縄の原風景ともいえる、町並みや自然が今も色濃く残る特別な場所です。星のや竹富島もこの島の一部分。ミンサーを通して、竹富島の自然と生活文化の温もりを感じていただけるよう、施設内でも様々な場所でミンサーに触れることができます。島の文化に触れる滞在をお楽しみください。

織りの体験(竹富ミンサー)

星のや竹富島でミンサーにチャレンジできます。古い琉球の街並みが保たれた竹富島では、島民により大切に継承されてきた伝統工芸が多くあります。
竹富島発祥の伝統工芸、ミンサーは、女性が男性へ思いを込めて織る「帯」として親しまれてきました。竹富ミンサー体験では、竹富民芸館の機織り機を使い、講師から手ほどきを受けます。初心者でも約2時間でテーブルセンターが完成します。

星のや竹富島

石垣島から高速フェリーで10分、琉球赤瓦の屋根からシーサーが見守る集落が息づく竹富島。珊瑚の石垣に囲まれた特有の伝統建築を再現した50棟の集落を造り、島の風景となっています。

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